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大阪地方裁判所 昭和41年(ワ)6915号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕次に被告西田晴茂に対する請求につき判断する。

原告が本件土地を所有し、被告西田晴茂が同地上所在の本件家屋の西南側原告主張の部分を同被告が日之出旅行社の名称で経営する旅行韓旋事業の事務所に供用してこれを占有していること、同被告は先には訴外長谷川壬則から、次で伊藤忠八郎が原告主張の競売手続により本件家屋を競落取得するにともない爾後は右伊藤から、いずれも賃料一ケ月金一万五、〇〇〇円と定めて賃借し、これにより使用を継続しているものであることはいずれも当事者間に争がないところ、同被告の本件家屋の右占有使用による当該敷地部分たる本件土地の占拠使用につき原告に対抗しうべき正当な権限を有することについては同被告の何等の主張立証もない。してみれば同被告は原告の本件土地所有権に対する妨害の排除として原告に対し本件家屋中の前記占拠部分より退去してその敷地に該当する本件土地部分を原告に明渡すべき義務があるというべきものである。これに対し被告は昭和四一年四月二七日原告との間において、原告は同被告に対し本件家屋よりの立退補償の趣旨で金三〇万円を交付すべく、同被告は右金額の支払を受けるのと引換えにのみ原告のため本件家屋より退去すべき旨の約定を締結したが原告において右金額の交付支払をなさないからその履行あるまでは同被告においても本件家屋よりの退去履行を拒絶しうる旨抗弁する。しかしながら被告西田晴茂本人尋問の結果の中、右抗弁事由たる被告主張の約定が成立した旨の供述は原告本人尋問の結果ならびに弁論の全趣旨に照らしてにわかに信用することができず、他に右約定の成立を肯認すべき証拠はないから右抗弁は理由がない。したがつて被告西田晴茂は原告に対し即時本件家屋中前記占拠部分より退去して本件土地を明渡すべきものである。そして原告は同被告が本件家屋の前記部分の占拠を継続することにより本件土地所有権の行使を妨害せられ、よつて本件土地の賃料相当額たる一ケ月金一万五、〇〇〇円の割合による損害を受ける旨主張しその賠償として同被告の右家屋占拠開始後なる昭和四〇年一〇月一日以降右家屋退去の日まで一ケ月金一万五、〇〇〇円の割合による金員の支払を求めているけれども、本件土地そのものではなく直接には同地上の建物一部の使用の対価として同被告が約定負担している前記一ケ月金一万五、〇〇〇円の金額をもつてそのまま原告主張の本件土地所有権妨害に因る原告の財産上の損害額となすべきいわれはなく、また原告本人尋問の結果の中原告が自ら本件土地を利用し得ないことにより一カ月につき一〇万円ないし二〇万円以上にも及ぶ財産上の損失を蒙りつつある旨の供述も、右損失の具体的金額に関しては他に何等の客観的根拠資料に裏附けられない単なる主観的期待上の評価にすぎないものと認められるから到底右供述にかかる金額をもつて原告主張の損害額と認定することを得ず、その他には原告主張の損害の具体的数額を確定し得べき何等の証拠も存しない。

してみれば原告の被告西田晴茂に対する請求は、同被告が即時本件家屋中前記占拠部分から退去して当該敷地部分たる本件土地を明渡すべきことを求める限度においては理由があり正当として認容すべきものであり、その余は理由なしとして棄却を免れないところである。(日野達蔵)

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